上海博邦知識産権服務有限公司
パートナー IP 登録事業部経理 弁護士
銭旻
2017年10月25日

わが国における商標出願件数の増加にともない、商標評審委員会(以下・商評委)の受理件数も大幅に伸びている。それにつれ、現在、商評委の人手不足が問題となってきた。
本稿は商評委審査部門所長・張月梅の発表に基づき1、現在に至るまでの案件審査状況を整理した。

■ 商標評審委員会内部組織および人員編成

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■ 商標評審委員会が受理した案件類型(行政訴訟および行政再審を除く)

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■ 商標評審委員会がこの三年間受理した案件数(行政訴訟および行政再審を除く)

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■ 審理現状についての要点

1.現在に至るまで、すべての案件は期限内に審査を終え、滞られたものがない。
例えば、2017 年1 月に受理した案件はすでに拒絶査定不服審判なる段階へ進める。2016 年12 月で受理した案件はすでに無効審判または3年間不使用による取消審判決定の不服審判なる段階へ進める。

2.当事者の案件延期請求に対する審査が厳しくなってきた。原則的には以下の場合に限り、延期審理請求が認められる。
①引用商標所有人が商標変更、譲渡の手続きをしている場合
②引用商標が権利存続期間更新中である場合
③当事者が商標出願日の前、引用商標に対して3年間不使用による取消審判請求および無効審判を行った場合
④当事者が引用商標に対して商標異議申立を提出した場合

3.審査期限の要求を満たすために、商評委が以下のとおり規定している。
①「計件制」制度、すなわち、評審員に毎月定量案件数を担当させる制度評審員が規定期間内に審査を終了しなければならないこと。
②毎月月中と月末に審査進捗状況を報告しなければならないこと。
③毎月、各審査部門の審査件数による公示。

【コメント】

現在に至るまで、案件審査が順調である。商標局から人員が派遣されたことにより、案件処理の効率が向上している。評審員がほぼ審査期限までに業務を終えることができる。しかし、評審員は案件審査だけでなく、行政再審と行政訴訟にも対応している。そのため、仕事量が相変わらず多い。一般的には、案件の審理にかかる時間は 1 件につき約 30 分である。受理件数が増えていくが、商評委は審査人員を増やす予定はない。商標委が審査制度などについて改善措置を実施しないと、将来は案件審理の水準が下がる恐れがある。商標委の審理状況につき、当社は引き続き注視していく。

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1 張月梅所長が本年6月29 日、中国人民大学で発表した「商標権案件における三大難問」にもとづく。
2 年間換算すると、評審員 1人あたり 1年間 2600件受理するとなる。